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・年次有給休暇(有休)の基礎知識・

会社を経営し、人を雇用していくうえでは、遵守しなければならない法律が多々あります。
ここではお問合せの多い【年次有給休暇】についてご紹介します。

年次有給休暇(以下、有給休暇といいます。)とは、
従業員が賃金を維持したまま一定の日数、仕事を休むことができる制度です。

有給休暇は労働基準法によって規定されている制度ですが、
法令を遵守する以外にも、企業にとっては従業員の福利厚生や働きやすい職場環境の整備を通じて人材確保や定着を促進する重要な手段として近年特に注目されています。


◉有給休暇制度の概要

  • 付与要件
    有給休暇は、入社後6か月間継続して勤務し、その間の出勤率が80%以上の従業員に対して付与されます。
  • 付与日数
    フルタイム従業員:初年度は10日間付与され、勤続年数に応じて最大20日まで増加します。
    パートタイム従業員:週の所定労働日数に応じて比例付与されます。
  • 有効期限
    付与日から2年間が有効期限です。この期間を過ぎると消滅します。
  • 使用目的
    私的な理由や休養など、従業員の自由な目的で使用できます。
  • 取得義務
    年10日以上の有給休暇が付与される従業員に対し、使用者は年5日の取得を義務付けられています。
  • 年次有給休暇管理簿
    使用者は、労働者ごとに年次有給休暇管理簿を作成し、3年間保存しなければなりません。

フルタイム従業員の年次有給休暇の付与日数

勤続期間6か月後1年6か月後2年6か月後3年6か月後4年6か月後5年6か月後6年6か月後
付与日数10日11日12日14日16日18日20日

※正社員だけでなく、週4日を超えて勤務するパートタイマーやアルバイト等を含みます。


◉フルタイム従業員以外の有給休暇(比例付与)の仕組み

比例付与は、パートタイマーやアルバイトなど、週の労働日数や労働時間が短い従業員に対する有給休暇の付与方法です。
以下の要件が満たされる場合、労働日数に応じて比例的に日数が付与されます。

  • 一般的なフルタイム労働者よりも短い労働時間であること。
  • 所定労働時間が週30時間未満で、かつ、週所定労働日数が4日以下または年間の所定労働日数が216日以下の労働者

<比例付与の基準(週所定労働日数・年間所定労働日数別)

週所定
労働日数
年間所定
労働日数※
勤続
6か月後
勤続
1年6か月後
勤続
2年6か月後
勤続
3年6か月後
勤続
4年6か月後
勤続
5年6か月後
勤続
6年6か月後
4日169~216日7日8日9日10日12日13日15日
3日121~168日5日6日6日8日9日10日11日
2日73~120日3日4日4日5日6日6日7日
1日48~72日1日2日2日2日3日3日3日

※「年間所定労働日数」欄は、週の勤務に波がある場合など「週所定労働日数」では判断ができない場合に使用します。

たとえば、週3日勤務(年間121~168日)のパートタイム従業員の場合、勤続6か月後には有給休暇が5日付与され、勤続6年6か月後には11日付与されます。


◉有給休暇がもたらす【企業にとってのメリット

  • 人材確保
    有給休暇の適切な運用は、従業員や入社をしてくる方に「従業員を大切にする企業」という印象を与えます。特に働き方の改革が進む中、有給休暇を取りやすい環境は重要な魅力となります。
  • 福利厚生の向上
    従業員が健康や家庭の都合に合わせて休暇を取れることで、仕事とプライベートのバランスが向上します。これにより、従業員の満足度やモチベーションが高まります。
  • 人材定着
    有給休暇を活用しやすい職場環境は、離職率の低下につながります。特に子育てや介護と仕事を両立する従業員にとって、柔軟な休暇取得が魅力となります。
  • 生産性向上
    適切な休息により従業員の疲労が軽減され、集中力や業務効率が向上します。
    また、休暇取得を推進することで組織内のコミュニケーションが活性化し、チームワークの向上にも寄与します。

◉実際の運用のポイント

  • 計画的付与
    一部の有給休暇を計画的に付与することで、業務の繁忙期を避けつつ、全員が有休を取りやすい仕組みを作ることが可能です。
  • 柔軟な取得も可能
    有給休暇は、一日単位だけではなく、半日や時間単位の取得も可能です。
  • デジタルツールなどの活用
    有給管理システムを導入することで、従業員が有給残日数を簡単に確認し、計画的な取得が可能になります。

◉最後に

有給休暇は法定義務であると同時に、従業員満足度や生産性の向上を図るための重要なツールとなり得ます。積極的に運用することで、企業の魅力が高まり、優秀な人材を引き付け、長期的な成長を支える強固な基盤を築くことができる手段のひとつとして考えてみてはいかがでしょうか。

本記事の内容は、作成日(2025.1.6 時点の法律や諸制度に基づき作成しています
※また、本記事の内容の一部については、専門用語を一般的な表現に置き換えて記述している場合がございます。


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