割増賃金の基礎となる賃金について

会社を経営し、人を雇用していくうえでは、遵守しなければならない法律が多々あります。
この記事では、「割増賃金の基礎となる賃金」についてご紹介します。
◉「割増賃金の基礎となる賃金」とは
使用者(企業)は、労働者に時間外労働、休日労働、深夜労働を行わせた場合には、法令で定める割増率以上の率で算定した割増賃金を支払わなくてはなりません。(労働基準法第37条)
本記事でご紹介する「割増賃金の基礎となる賃金」とは、時間外労働、休日労働、深夜労働に対する割増賃金を計算する際の基礎となる賃金のことを指します。
(ここでの「時間外労働」とは、法定外の時間外労働をいいます。)
ただし、全ての賃金が割増賃金の基礎となる賃金に含まれるわけではなく、以下の手当については、その基礎から除外してよいとされています。(労働基準法第37条第5項)
① 家族⼿当
② 通勤⼿当
③ 別居⼿当
④ ⼦⼥教育⼿当
⑤ 住宅⼿当
⑥ 臨時に⽀払われた賃⾦
⑦ 1か⽉を超える期間ごとに⽀払われる賃金
①〜⑦は、例⽰ではなく、限定的に列挙されているものです。これらに該当しない賃⾦は全て算⼊しなければなりません。
ただし、①〜⑤の⼿当については、このような名称の⼿当であれば、全て除外できるというわけではないため、注意が必要です。
特に、家族手当、通勤手当、住宅手当については、除外できる手当の具体的範囲が示されていますので、以下の資料2ページ目をご参照ください。
※ご参考 割増賃金の基礎となる賃金とは?(厚生労働省)
◉割増賃金の基礎となる賃金一覧(ご参考)
区分 | 具体例 | 割増賃金の基礎となる賃金に含まれるか |
---|---|---|
基本給 | 基本給そのもの | 含まれる |
皆勤手当 | 皆勤手当 | 含まれる |
割増賃金の基礎となる諸手当 | 役職手当、職務手当、資格手当、能力手当など | 含まれる |
割増賃金の基礎とならない諸手当 | 家族手当、通勤手当、別居手当、子女教育手当、住宅手当 | 含まれない |
賞与 | 業績に基づく賞与 | 含まれない |
時間外手当 | 法定時間外労働に対する割増賃金 | 含まれない |
深夜手当 | 深夜時間帯の労働に対する割増賃金 | 含まれない |
休日労働手当 | 休日労働に対する割増賃金 | 含まれない |
特別手当 | 臨時支給の特別報酬 | 含まれない |
交通費 | 実費支給の交通費 | 含まれない |
福利厚生費 | 社会保険料、福利厚生費 | 含まれない |
歩合給 | 売上や成果に基づく歩合給 | 含まれる(ただし変動可能) |
◉まとめ
割増単価をはじめ給与計算の誤りは、従業員の信頼を損ねる原因となりかねないものです。
適切な計算を行うため、貴社の単価の算出が正しい状態となっているか今一度確認してみましょう。
近年は、福利厚生制度拡充の一環として、新たな手当の創設を検討する企業も増えましたね。
福利厚生制度の拡充は、従業員満足度も上がり良い面もある一方で、創設した手当が、思わぬ残業単価の上昇や各種保険料の増加につながり、結果として想定以上の人件費の増加となる可能性もあります。
手当の創設を検討される場合には、是非事前に社労士事務所にご相談ください。
弊所顧問先企業様につきましても、新たに手当を創設する場合は担当者までお気軽にお知らせください。
※本記事の内容は、作成日(2025.4.4 )時点の法律や諸制度に基づき作成しています。
※また、本記事の内容の一部については、専門用語を一般的な表現に置き換えて記載しています。
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